攻撃スタイルの異なるボスとの死闘で初見プレイの興奮が蘇る―新規プレイヤーの手助けとなるオンライン要素にも注目の『SEKIRO』アップデート【プレイインプレッション】

 500万本以上の売上を記録し、2019年のGame of the Yearに輝いた『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』(以下、『SEKIRO』)。
 フロム・ソフトウェアは10月29日に『SEKIRO』の無料拡張アップデートを配信するとともに、アップデート内容を収録しつつ、お求めやすい価格となった新パッケージ「GAME OF THE YEAR EDITION」(PlayStation 4版)をリリースする。

 アップデートで追加されるボスとの再戦・連戦は多くのプレイヤーが渇望する新機能で、なんと新たな攻撃モーションが追加されたボスも登場。加えて、ネットワークを介した他プレイヤーとのつながりは、これから『SEKIRO』をプレイする人にとって非常に心強いものになるだろう。
 待望のアップデート配信日が近づくなか、フロム・ソフトウェア本社にて新機能を体験させていただく機会を得たので、各機能の詳細とインプレッションをお届けしよう。

文/Leyvan


再戦・連戦は身体が闘争を求める人も笑みがこぼれる出来ばえ

 まず、アップデートを心待ちにしている既存プレイヤーがもっとも気になるであろう「類稀な強者との再戦・連戦」についてお伝えしていく。
 「類稀な強者との再戦」は、「戦いの記憶」、または「戦いの残滓」を所持、つまりボスを撃破していると、鬼仏のメニューから撃破済みのボスと自由に再戦できる。
 「類稀な強者との連戦」は、決められた順番でボスと戦うモードで、連戦に登場するボスたちの「戦いの記憶」または「戦いの残滓」をすべて所持することで挑戦可能だ。連戦には4つのルートがあり、本編の2周目以降に特定の「戦いの記憶」か「戦いの残滓」を所持していることでプレイ可能となる。

御子奪還の道:鬼形部、まぼろしお蝶、葦名弦一郎
修羅の道:柔剣 エマ、葦名一心、怨嗟の鬼、義父
不死断ちの道:獅子猿、大忍び 梟、宮の破戒僧、剣聖 葦名一心
????:本編に登場するすべての類稀な強者

 再戦・連戦の具体的な仕様については、以下にまとめる。

【再戦・連戦共通】

・対応する「戦いの記憶」または「戦いの残滓」の所持
・鬼仏に追加された項目から実行可能
・攻め力は本編の進行状況に関わらず固定、身体力は本編のものが反映
・義手忍具、アイテム、流派技は本編と同じく自由に付け替え可能
・元の世界に戻ると消費したアイテム、形代、銭は元の状態に戻る
・再戦・連戦でスキルポイントや銭、アイテムを獲得することはない
・再戦・連戦のボスの強さは周回数によって変わらない
・再戦・連戦においても厄憑/さらなる苦難は適用される
・再戦・連戦で死亡しても竜咳は発生しない

【連戦】

・決められた順番でボスと戦い、一度でも敗北すると元の世界に戻る
・ボスを1体撃破するごとに鬼仏が出現し、傷薬瓢箪と1回分の回生の力の補充、形代の購入が可能
・本編では休息なしで戦闘となる順番でも、連戦モードでは1体ごとに休息可能(柔剣 エマ→葦名一心など)
・葦名弦一郎→巴流 葦名弦一郎に関しては休息なしで連続戦闘となる

 実際に何度か再戦してみると、やはり好きなボスと自由に戦えるのは非常に心地よい。『SEKIRO』をプレイしていると湧き上がる「もっと戦い続けたい」という欲求を存分に満たしてくれる、まさに期待通りの機能だ。

 これまでは一周のうちに一度限りしか戦闘の機会はなく、特定のボスと集中して戦うには、リトライするほかなかった。しかも、鬼仏からボスのところまで毎回移動する時間もかかる。連戦となるボスの場合は、毎回前座から倒さなければいけない。
 そんな煩わしさを感じることなく戦闘を純粋に楽しんだり、納得いくまでボスの繰り出す技を受けられるのは非常にありがたい。

 一方で、連戦に関しては、『SEKIRO』を遊び込んでいるプレイヤー向けのチャレンジ要素、エンドコンテンツという意味合いが強い。なぜなら、連戦の中で一度でも敗北すると元の世界に戻される、つまり挑戦失敗となってしまうからだ。
 さまざまなボスを相手に勝ち続けるのは、それなりに熟達したプレイヤーでなければ難しく、おまけに連戦の最後に待ち受けるのは本編とは攻撃スタイルの異なるボスだ。詳しくは後述するが、初見で突破するのはかなり厳しいだろう。

 とはいえ、1戦ごとに鬼仏で傷薬瓢箪や、1回分ではあるが回生の力を補充できるほか、アイテムを惜しまずに使えるので繰り返しプレイしやすいように配慮されている。
 一筋縄ではいかない連戦だが、クリアすると「姿変え」でプレイヤーキャラクターの外見を変更するアイテムが入手できるなどリワードもあるので、一度はクリアを目指したい。

 ちなみに、すべてのボスを相手にする果てしなく険しい戦いに挑めるルートもあるが、こちらに関しては特に報酬はなく、純粋な腕試しの場となっている。どこまでも戦いを求める修羅の如きプレイヤーにはうってつけだ。

初心を思い出させてくれる「心中の強者」たち

 さらっと「本編とは攻撃スタイルの異なるボスが出てくる」とお伝えしたが、正直これがアップデートの目玉と言える。連戦の各ルートで最後のボスとして用意されているのは名前に「心中の~」と記される特別な仕様のボスだ。
 姿こそ本編と変わらないが、刃を交えた瞬間に異変に気がつくだろう。見覚えのない技を繰り出し、見慣れた動作にこれまで通りの対応をしたら予想外の挙動をするなど、経験者を見事に返り討ちにしてくる。

 心中の葦名弦一郎を例にすると、力強く3連続で広範囲、高威力かつガードのうえからHPを削る剣技が追加されている。大振りなので動き自体を見極めるのは難しくないが、タイミングを掴むまでは手こずらされる大技だ。そして2戦目では、セオリー通りに戦うとほぼ間違いなく強烈な雷をお見舞いされるはず。
 それ以外にもいくつかの変化があり、本編の印象のまま戦った筆者は何度も洗礼を受けることになった。ネタバレになるので詳細は伏せるが、本作をやり込んでいるプレイヤーほど衝撃を受けるだろう。

 本編の弦一郎はゲーム中盤で乗り越えるべき壁として、そして本作の戦いかたを叩き込んでくれる存在だが、ひとたび勝てるようになると今までの苦労が嘘のように負けなくなる、といった具合の強さだった。
 心中の葦名弦一郎は、本編を一通りクリアできるようになったプレイヤーに対して、「すでに見切ったはずなのに手強い」という絶妙な手応えを与える強さに仕上がっていると感じた。そして、やはり勝てるようになると十中八九勝てるようになる……というところも含めて、本編での立ち位置から逸脱することなく順当にアップグレードされている印象だ。

 「心中の〜」と記されたボスは弦一郎のほかにも登場するのだが、こちらもネタバレになるので詳細を述べるのは割愛する。ぜひ自身で戦ってみてほしい。
 とはいえ、これらの心中の強者たちは連戦を勝ち進め、挑めるようになった段階で再戦が開放される。自信がつくまではそちらでみっちりと練習してから、あらためて連戦に挑むといい。

これから始める人も、挫折した人も挑戦しやすい環境に

 戦いの刺激を求める既存プレイヤー向けの新要素を紹介してきたが、新規プレイヤーにとってうれしい「残影」も見逃せない。
残影は、プレイヤーの行動を最大30秒間記録し、メッセージを添えてオンラインでほかのプレイヤーと共有できる機能で、おもに攻略のヒントを伝えるためのシステムだ。
 見つけにくい場所に隠されたアイテムの場所を示したり、強敵の死角に回って忍殺できるポイントまで案内するなど、有益な手がかりとなる残影を残せば、ほかのプレイヤーの助けとなる。

 残影は評価することができ、残影が評価されたプレイヤーはHPが回復するといった見返りがあるので、プレイヤーどうしがゆるく協力し合うことで遊びやすく、そして「ひとりで戦っているわけじゃない」と、孤独感が薄れ、微かな連帯感をもてるのだ。
 こういった非同期のコミュニケーション要素は、『デモンズソウル』『ダークソウル』シリーズ、『Bloodborne』といったフロム・ソフトウェアの過去作ではおなじみのものだが、『SEKIRO』ではシングルプレイだからこそ出来るゲームデザインに特化すべく、あえて取り除かれていた。

 それが今回のアップデートで、『SEKIRO』に再び盛り込まれるかたちとなったわけだが、ソウルシリーズでの経験上、メッセージなどのヒントがまったくないオフラインでのプレイと、「何かがあるところ」でメッセージや血痕などのヒントが溢れているオンラインプレイでは遊び応えがまるで違ったので、本作も同様にアップデート後は賑やかに、より遊びやすいものに変わるはずだ。

 2020年後半になっても、まだまだプレイヤーを楽しませてくれる『SEKIRO』。難度が高いゲームだと聞いて尻込みしていた人や、途中で挫折してしまった人などは、このアップデートを機に『SEKIRO』に触れてみてはいかがだろうか。

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『SEKIRO』にはプレイヤーの魂を震わせる「死闘」がある。あの“あと一撃の戦い”はいかに研ぎ澄まされたのか

 『SEKIRO』で最後の敵と相まみえたとき、道中で培ってきたシステムの理解や、苦労しながらも倒してきた敵の数を根拠にした自信は、確かにあった。しかし、刃を交えた瞬間に「ひるみ」を感じた。何もわからぬまま屠られ、二戦目には「絶望」した。自信が慢心だったことに気づき、精神が疲弊の波に飲まれそうなって、それでも狂ったようにプレイし続けた。

 その中で筆者は、『SEKIRO』にぼんやりと感じていた、“研ぎ澄まされて残ったもの”を見つめなおしていた。

ライター
Leyvan(レイヴァン)
中学生の頃に1/144 HGUCデンドロビウムやPGガンダムを購入し、『Diablo2』、『UltimaOnline』 、『EverQuest』など数多のネトゲに染まった筋金入りのゲーム&模型廃人。遊びと仕事で紹介したゲームは数知れず。記事の執筆、インタビューの他にも映像制作・編集も行い、近年では「『真・女神転生 』楽曲人気投票 結果発表!」の映像制作なども担当。好きなもの、関心があるものには後先考えずに全てを捧げるバーサーカー。
Twitter:@Leyvan44
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