『サクラ革命』が受け継いだ「サクラ大戦らしさ」とはなんなのか──SLGのような戦闘パートも楽しめた先行体験プレイ&トークセッションレポート

 セガとディライトワークスが共同製作した、スマートフォン向けドラマチックRPGの『サクラ革命 ~華咲く乙女たち~』(以下サクラ革命)。リリースが2020年12月15日に迫ってきたが、それに先駆けてメディア向けの先行プレイ体験会と開発陣によるトークセッションが開催された。本稿ではその模様をレポートする。

 この『サクラ革命』の中で、プレイヤーが演じるのは司令という役割だ。歌うことも戦うことも未完な状態にある全国の乙女たちと、日本奪還を目指していくというのが大まかなストーリーとなっている。そこで描かれているのは、彼女たちの成長物語である。これだけではどんな作品かわかりにくいと思うが、特に特徴的な部分について紹介していく。

取材・文・写真/高島おしゃむ


SLGのような知的なプレイが楽しめる「コマンドラインバトル」

 本作はドラマチックRPGとあるように、大半はアニメを見ているようなストーリーを楽しみつつ、一部戦闘などRPG的な要素が盛り込まれているといった作りになっている。この戦闘部分に採用されているのが、「コマンドラインバトル」だ。

 『サクラ大戦』といえば良質なシミュレーションゲームを遊んだような気分にさせてくれる作品というイメージがあるが、そのエッセンスをこのスマホでも再現するために盛り込まれたものである。

バトルシーンでは、①~⑤までのライン上を支配しながら進めていく。各ユニットに3つの指示を出すことで、行動が決定されるのだ。気力が100パーセントになると、必殺攻撃を繰り出すこともできる。

 実際のバトル画面では有効射程を示すラインが引かれており、それを元に攻防が行われる。各ユニットには有効射程が決められており、それに合わせて攻撃をしかけていくのだ。

 たとえば、ダイレクト攻撃タイプは目の前の敵を攻撃し、スポットタイプは射程ごとに攻撃力が変わる。また、シュータータイプは長射程ができるが、敵からの攻撃には弱いといった感じだ。

 さらに、ユニットごとに属性相性が決められており、それによってもダメージの増減が発生する。こうした要素を考慮しながら、戦闘を繰り返していくのだ。

画面上部から、敵の射程や属性も確認できる。

 もちろん、頭を使いながらゲームを進めていくのは面倒という人もいるだろう。そうした人たちのために、戦闘をオートに切り替えることも可能だ。

 戦闘速度も2倍にできるため、『サクラ大戦』自体は遊んだことがなくとも、他のスマホゲームと同じような感覚で遊べる。すぐにゲームの世界観にのめり込んでいくことができるだろう。

ドラマチックパートでは選択肢が乙女たちのやる気を引き出す!?

 先ほども少し触れたが、本作のもうひとつの特徴ともいえるのが「ドラマチックパート」だ。こちらは割とこまめにダウンロードが発生してしまうものの、アニメーションに加えて登場キャラクターたちによるフルボイスのセリフを楽しむことができる。

 一見すると真面目な絵柄だが、ときおりデフォルメされたキャラクターが登場するなど、演出部分もかなりこだわって作られているのがわかる。

 さらに、この「ドラマチックパート」ではときおり選択肢が登場することがある。どのセリフを選んだかによって、乙女たちのやる気にも影響してくるのだ。

 それぞれの乙女たちの詳細については、プロフィールで確認できるほか、ボイスも個別に聞くことができる。信頼度が上がれば、プロフィールの詳細や思い出なども解放されていく。

どちらを選ぶかによって、やる気も変わっていく?
信頼度を上げていき、プロフィールや思い出を解放していこう。

調査で新たな乙女をゲット!

 新たなキャラクターは、調査(ガチャ)から入手が可能だ。こちらは霊子水晶を使って、新たな乙女たちと出会ったり新たな装備品を入手することができたりする。レアレティによって出現時の演出も変わるので、そちらも注目して欲しい。

 ちなみに、信頼度を上げていき、プロフィールや思い出を解放していこう。もちろん、最初からすべてのキャラクターが揃っているわけではないが、各都道府県にひとり以上は登場する予定だ。

 過去作のキャラクターが登場するのかも気になるところだが、こちらはまったく別のシリーズになっているためストーリー上では登場することはなさそうだが、コラボなどの可能性はゼロではないとのこと。

セガのゲームをスマホ化する動きからプロジェクトがスタート

 ここからは、セガの『サクラ革命』プロデューサーである木原卓氏と、同じくプロデューサーのディライトワークス・岡村光氏、開発ディレクターの池大輔氏によるトークセッションから一部を抜粋してお届けする。

 『サクラ革命』が生まれたきっかけは、今から4~5年前に遡る。その当時、セガでは自社のゲームをスマートフォン向けに作るという動きがあり、本プロジェクトもその一環としてスタートしている。だが、木原氏は自分が子供の頃から遊んできた『サクラ大戦』を単純にスマホで出すこということには、賛同することができなかった。

 周囲からいろいろな情報を集めていたところ、PS4向けに新作の『新サクラ大戦』(2019年12月12日発売)が作られていることがわかり、それがある前提でゲームを決めている。その時点では、現在の『サクラ革命』とは異なるゲームを検討していたという。

『サクラ革命』プロデューサーのセガ・木原卓氏。

 こうして始まったプロジェクトだったが、社内にラインがなかったということもあり一緒に作ってくれるパートナーを探すことにした。いろいろな会社に声をかけている中で、ディライトワークスも候補にあったのだが、条件が合わず1度は断っている。

 しかしその後、ディライトワークスから熱いプロジェクトの提案があり、それがかなり良かったことから一緒に始めることになったそうだ。そのとき提案書には、本作のテーマでもある「日本、奪還。」がすでに含まれていた。

 岡村氏は、この「日本、奪還。」はかなりインパクトのある言葉だと語る。その言葉の中には、今回のタイトルのいろいろな意味や思いが込められているのだ。

 同じく『サクラ大戦』を子供の頃から遊んできた池氏は、最初にこのテーマを聞いたときに「日本奪還でサクラ大戦にするって、なんのこっちゃ!?」と思いながらプロジェクトに参加したそうだが、このテーマを世界観に落とし込んでいくためにどうすればいいのか、話し会いながら作り上げていったと語った。

『サクラ革命』プロデューサーのディライトワークス・岡村光氏。

『サクラ大戦』らしさとはなんなのか? 伸ばす要素を選んで抽出

 この『サクラ革命』は、これまでのシリーズとは異なるまったく新しいものを作ろうという話しから始まっている。当然のことながらシリーズの1作品ではあるので、「『サクラ大戦』らしさとはなんなのか?」ということを理解しておくことも重要だ。

 『サクラ大戦』には、カッコイイロボットに乗り込んだり、可愛い女の子との舞台があったり演劇がキラキラ輝いているなど、数多くの要素が盛り込まれている。しかし、それらすべてをスマホゲームの中で盛り込むのは難しいため、伸ばしていく要素を選んで作られていくことになった。

 コンセプトを固めて行くにあたり、池氏によると「乙女たちが今を生きることに対して、一生懸命頑張って舞台に魂をぶつけていくということを柱にしよう」という話しをした記憶があるそうだ。

『サクラ大戦』と舞台と歌劇は切り離せない要素でもある。この作品をきっかけに、他の舞台も観劇するようになった人も多い。池氏もそのひとりだそうだが、新しいシリーズでも、その要素は絶対外せないということは開発陣の中でも一致していた。

舞台演劇のリアルさがゲームの脚本に加わった

 ゲームの開発はディライトワークスが担当しているが、楽曲自体はセガの内部で作られている。しかし、勝手に作りたい曲を作ってしまうとゲームに合わないという自体になりかねない。そこで、どんな曲を作るかも含めて話しあいながら作られている。

 幸いなことに、本作の脚本を担当しているのは数多くの舞台を手がけていた松崎史也氏だ。ゲーム内にも歌劇のシーンは登場するが、それをフル尺で作るわけにはいかず、実際にはダイジェストのようなものになってしまう。しかし、松崎氏は最初から最後まで起承転結でシナリオを書いてくるため、曲の発注もしやすいのだという。

『サクラ革命』開発ディレクターのディライトワークス・池大輔氏。

 もちろん松崎氏のシナリオは、楽曲だけではなくひとつひとつのセリフにも現れている。松崎氏自身も役者として舞台に立っているということもあり、キメのシーンで話すセリフの立ち方にもこだわりがある。そのため、2000回ステージに立っているからこそ言えるようなキレのあるセリフが生まれ、ゲームの脚本に舞台演劇のリアルさが加わっているのだ。

未完成のメインヒロインたちと完成されたライバル

 『サクラ革命』には、メインとなる帝国華撃団・青ヶ島花組(以下青ヶ島花組)として3人の女の子が登場する。ヒロインの咲良しのは、前髪はパッツンで眉も太いことから、「もうちょっと正統派にならないの?」という意見も出ていた。

 だが、これは変化急を投げてきたという意味で作られたキャラクターではなく、帝国華撃団の正面を貼れるような女性に成長していく、芽吹く前の状態をイメージして作られたものだと、池氏は説明する。

 一方、青ヶ島花組の対照的なライバルとして登場するのが、大帝國華撃団B.L.A.C.K.(以下B.L.A.C.K.)だ。青ヶ島花組のほうは、まだ出来上がっていない女の子たちだが、B.L.A.C.K.は完璧に仕上がっているエリート集団である。

 ゲーム冒頭にも登場するB.L.A.C.K.だが、『サクラ大戦』ファンなら、いきなり彼女たちがアイドルですといわれても違和感があるかもしれない。敵でありながら帝國華撃団を名乗り、アイドル集団としても活動している。青ヶ島花組にとっては、ライバルというよりは、遙か高みにいる存在なのだ。

 また、帝国華撃団・九州花組というキャラクターたちも登場するが、こちらはキャラクターデザインを担当したオハラミサオ氏を中心に作られたそうだ。

 ちなみに、『サクラ大戦』では下の名前は花の名前から付けられているが、今作でももじってはいるものの、同じく花の名前が付けられている。

お気に入りの乙女がひとりでも見つかると嬉しい

 この日行われたトークセッションの最後に、今回登壇した木原氏、岡村氏、池氏の3名から、本作のリリースを待つファンに向けてメッセージが語られた。

木原氏
 ディライトワークスさんの『サクラ大戦』へのアツイ思いを信じて、ここまで作ってきました。サービス開始ということで、ご期待ください。

岡村氏
 『サクラ大戦』らしさとはなんだ? というところを、開発メンバー一同考えながら、新しい『サクラ革命』として作ってきたタイトルになっています。いろんな乙女が出てきます。その中で、皆さんのお気に入りの乙女がひとりでもいてくれたらなと思っています。

池氏
 松崎さんと一緒に作ってきた物語と、セガの皆さんと一緒に考えてきたキャラクター。そうしたものが、ひとりでも多くのお客さんが楽しんでくれるといいなという願いだけでやっています。

 『サクラ革命』というタイトルを付けたのも、『サクラ大戦』すべてを継承しているわけではないかもしれないけど、我々が感じた作品のここが良かったというところを伸ばしながら作っています。これもまた、『サクラ大戦』としてありかなと思ってもらえたら、ありがたいなと思っています。

 短い時間だったが、実際にゲームをプレイした感覚では、コンシューマーゲーム機に負けないレベルの丁寧な仕上がりになっていると感じた。

 『サクラ大戦』のファンはもちろんのこと、シミュレーションよりのRPGが好きな人にもオススメできる。リリース後はぜひ本作をダウンロードして、この新たな作品の素晴らしさを体験してみてほしい。

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